2019.2.6

木野本アキラ、政治を切る 〜プーチンの支持率低下と北方領土返還の可能性〜

     

    2000年の大統領就任以降、高支持率を維持し続けてきたプーチン−メドベージェフ体制。その高支持率が北方領土問題だけでなく、EU圏を含めた強気の外交を維持させたことは周知の事実である。

    そんな完全無欠のプーチンが、ここにきて窮地に追いやられている。大統領支持率が30パーセント台にまで下がってしまったのだ。日本は、ここでどのような手を打つべきなのだろうか。そして、この支持率低下を北方領土問題で逆手に取ることはできるのだろうか。

     

    プーチンの支持率低下の原因

    簡単な説明をすると、プーチンは現在大統領4期目である。プーチン大統領の初大統領就任以降の時系列は以下の通りだ。

     

    2000年 大統領就任

    2004年 大統領再選

    2008年 大統領任期満了。メドベージェフ政権で首相を務める

    2012年 大統領再選。2008年の法改正により任期が4年から6年になる

    2018年 大統領再選

     

    一度メドベージェフとの交代はあるが彼はこの時期も政権中枢にいる。いわばロシアの法制で認められなかったため、一度顔を挿げ替えただけで、支持率の低下から大統領を辞したわけではない。そう考えると今年19年目になる。

    G7だとドイツのメルケル首相が一番長くて14年。次いで安倍総理が2番目で7年であるから、如何に19年が長いかわかるだろう。特に国際関係において、長期政権は武器となる。

    トランプ大統領が安倍総理と密な関係を築けているのも、安倍総理が長期政権であるからという理由は間違いなくある。

     

    そして、なぜ民主主義国家で長期政権を続けることができるのか。それは国民の民意の上だからだ。プーチン大統領の支持率は、この20年余の間、非常に高かった。一部では反体制派のジャーナリストの暗殺などはほぼ事実として語られてはいるが、それを除いたとしても支持率が高い理由は「ロシア経済」である。

    20世紀末のロシア経済は地獄だった。ソ連崩壊後まもない中、エリツィンの後継として彼はたった8年の間でGDPを6倍にし、貧困層を半分にまで縮小させた。まさにロシアのスターなのだ。

     

    余談ではあるが、どの国家を世界規模でみても経済さえ良ければ支持率が減ることはない。現在安倍総理やトランプ大統領が支持率を維持している理由も大半はアベノミクスによる経済成長の恩恵であるというのが経済学者の味方だ。

    逆にフランス、イギリス、ドイツ等の政権が総じて支持率が目も当てられないことになっている理由は、移民受け入れによる治安悪化ではなく、国内経済の悪化である。

     

    話を戻そう。

    プーチン大統領の支持率が急激に下がった理由も、上記の例外ではない。理由は1つ、「年金改革」、特に年金受給年齢の引き上げが主な原因となっているのだ。与党である「統一ロシア」の提出した法案によると年金の受給年齢が男女で5歳ずつ引き上げると書かれている。

    それなら日本も同じではないか、と多くの方は感じるだろうが実際はその経緯が大きく3つの点で異なる。

     

    まず日本では年金受給年齢の引き上げを長い間議論してきた。これが財務省の工作であることは間違いないが、結果として数十年も議論されてきた問題であるが故に実際に引き上げると決まった際のインパクトは少なかった。それに対してロシアは、プーチン大統領が2005年のインタビューで「私が政権にいる間年金受給年齢の引き上げは一切しない」と断言してしまっていた。故に国民は裏切られたというイメージを持った。

    おそらくプーチンもそのつもりであったはずだ。しかし、逆にこの判断が結果的に「臭いものに蓋」をした形となり、少子高齢化問題を抱えてもなおロシア国内で議論されてこなかったのだ。

     

    2つ目は「年金受給額」だ。現状、ロシアの年金受給者がもらう金額をご存知だろうか。約200ドル。日本円にして2.5万円である。日本人の平均年金受給額18万円に対して、ロシアは元々の受給額が限りなく低い。

    そして3つ目は「平均寿命」。日本人の平均寿命が84歳であるのに対し、ロシアは72歳と一回り以上の差がある。65際以上を受給とした場合、老後年金を受給できる時間はごく僅か。逆に日本は20年以上も年金生活ができるのだ。このように日本とロシアを比べると何故ロシアでは年金問題がこれほど国民の関心事となっているか理解できる。

     

    以上のバックグラウンドがあり、現在ロシアのプーチン大統領の支持率が急激に下がっているのだ。

    以下は私が信頼できる情報筋からもらった時期別の支持率を元に急ごしらえで制作したグラフである。誤差はもちろんあるが、今回の支持率の変化がどの程度大きいものかを視覚的に判断できる材料としてほしい。

     

     

    (私もジャーナリストの端くれとして、この程度のコンピュータプログラムは可能だ。もしこの技術が知りたいという読者がいれば、提供する記事を書くことくらいは可能だと思う。寄稿という体裁のため、私の方から動くことはできない。何かあれば直接Mediassort側に相談してほしい)

     

    そう、上グラフを見てもらえればわかるように、プーチンは未だかつて直面したことのないレベルでの危機的状況に陥っている。

     

    北方領土の歴史

    ロシアの政治事情の説明は以上にして、次は北方領土問題に関して読者の方と認識を擦り合わせていこう。

    北方領土はロシア・日本が双方共に主権を主張している地域であり、現在ロシアによる実効支配が続いている。手元の資料にちょうどいい地図があったので、まずはこちらを見てほしい。

     

    北方領土はこの地図でいうところの、北海道本当から東側の国境までにある島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)を指している。北方4島と呼ばれているが、歯舞は実際には島ではなく「群島」であり、面積でいうとごく僅かである。

    さて、この北方領土にいつから問題が生じたか。googleで検索した際に一番上に出てきたHuffpostから、経緯の重要な部分を引用してみよう。

     

    およそ160年前の1855年2月、日本(江戸幕府)とロシア(ロシア帝国)の間で初めて国境を確定した日魯通好条約(日露和親条約)が結ばれた。両国の国境線は、択捉島と得撫島(ウルップ島)間に定められた。樺太島(サハリン)には国境を設けず、これまで通り両国民の「混住の地」にすると定められた。

    日本政府は、この条約を根拠に「北方領土はこの時に日本領となった」とする立場をとっている。

     

    第二次世界大戦中の1941年4月、日本とソ連は「日ソ中立条約」を締結し、両国は互いに中立を保った。だが、広島に原爆が投下されてから2日後の1945年8月8日、ソ連は日ソ中立条約を一方的に破棄し、日本に宣戦布告した。

    背景には南樺太(南サハリン)・千島列島のソ連領有を決定したヤルタ秘密協定の存在がある。

    8月15日、日本は「ポツダム宣言」を受諾し、連合国に降伏。しかしソ連軍はその後も千島列島を南下し、9月5日までに「北方領土」を占領。ロシア側は「第二次世界大戦で北方領土は合法的に自国領になったと」主張し、現在に至る。

     

    1951年、日本は連合国と「サンフランシスコ講和条約」を締結。この条約で日本は、戦前に領有していた台湾や朝鮮半島をはじめ南樺太・千島列島を放棄することが確定した。

     

    ここで問題となるのが、「千島列島」が何を指し、最終的にどこに帰属するかという点だ。

    調印に先立つサンフランシスコ講和会議では、日本全権だった吉田茂首相が「歯舞、色丹が北海道の一部で、千島に属しない」と述べた。しかし、択捉島、国後島については「昔から日本領土だった」と言及するにとどまった

    一方で、外務省の西村熊雄条約局長は1951年10月の衆議院特別委員会で「放棄した千島列島に南千島(国後島、択捉島)も含まれる」と答弁した

    結局のところ、「千島列島」が何を指すのか日本側でもぶれてしまった。サンフランシスコ条約でも帰属は明記されなかった。また、東西冷戦の最中であったことから、西側諸国と対立していたソ連や中国はサンフランシスコ講和条約に参加せず、条約は「片面講和」になってしまった。

     

    つまり、色々と大変だという訳である。それはそうだ。社会人を経験するとわかるが、交渉ごとは大変である。しかしながら、一方的に条約を破棄するのはやはり良くない。私も一方的に破談になったことが過去何度かあるが、あれはトラウマになる。

     

    さて、前置きが長くなったが、ここからが本題である。

    逆にこのプーチン政権のピンチを日本政府が逆手に取ることができるのだろうか。私は、方法によってはそれはあり得ると考えている。具体的に言えば、今までプーチン政権は日本の政権に対して「支持率・政権の長さを利用して圧倒的軍事力をちらつかせて小さく殴る」ことを繰り返してきた。日本は経済でいうとロシアの比ではない。GDPでもロシアを圧倒している。しかし、軍事力ではロシアが圧倒的である。ロシアは常にどの部分で日本に勝てるか注意深く見定め、文字通り日本の痛いところを付いてきたのだ。

    日本は今までロシアを「殴る」ことをことごとく避けてきた。「軍事力をちらつかせて殴る」ロシアとは真逆に「経済力をちらつかせて友好を図る」ことを続けてきたのだ。しかしこの作戦ももう潮時だろう。

     

    今は逆に、ロシアより強いものを武器にして文字通り「痛いところ」を付かなければならない。「痛いところ」とはどこか。もちろん「支持率」と「経済」である。

    ではロシアより強いものとは何か。私は見つけてしまった。

    今からお伝えするのは、その方法を検証しながらネットから情報を得ている際に見つけた、驚きの事実である。これを知って驚かれる人は多いのではないだろうか。まずはご覧あれ。

     

    日本は都市部積雪量が世界一位

    どうだろうか。

    読者の方の驚きの表情が容易に想像できる。いや、「どういうことだ」と鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしているかもしれない。

    アメリカの気象的な記事を広く発信しているAccuWeatherによると、人口10万人以上の都市で年間積雪量をランキングにしたところ、1位がなんと青森市、2位が札幌市、3位に富山市と、日本が独占しているのである。

    これはすごい事実ではなかろうか。ロシアという極寒の地、はたまた雪国としての印象の強いカナダに比べても、日本の積雪量の方が上なのである。これはものすごいと思う。さらに言えば、ロシアはトップ10にすら入っていないのだ。

     

    これは間違いなく強みであるし、日本国民としてこの事実を誇れるはずだ。

    このすごさを武器に、日本はロシアに優位に立つことはできるはずである。

    そしてこの強みをどのように生かし、ロシアに圧をかけていくかが重要になってくる。具体的な提案は政府が検討することだ。おそらく、この情報もすでに政権内部に伝わっていることだろう。今後の政府の対応を注視したい。

     

    日韓、あるいは日中が現状それであるように、真の友好は等閑の友達ごっこでは決して作ることができない。安倍、プーチンの関係が良好である今だからこそ、強く出るときは強く出、戦いながら切磋琢磨しあってほしい。

    木野本アキラ
    木野本アキラ

    政治ジャーナリスト。
    とことん現場を貫き、あらゆる視点から政治を読み解くことを心がけている。
    イラストはMC・司会業の石渡氏から。