【PR表記】ちょうどいいのでステマについて調べてみた【ステマは法律違反?】

    2019.12.6

    最近、何やらお笑い芸人の方やインフルエンサーの方のステルスマーケティングがネットで話題になっています。ステマについてざっくりと説明をすると「お金をもらってPRしていることを隠して、あたかも自発的に宣伝しているように見せかけること」を指します。さきほど、SNSで問題となった案件は共に「#PR」をつけずに投稿してしまった、ということによる世間のバッシングが目立ちます。

    かつてペニオク問題というのがありましたが、ここ1ヶ月、お笑い芸人のTwitterでのステマが発覚して以降、よりSNSユーザーの目が厳しくなっているように思えます。

     

    僕もSNSでユーザーの反応をみてみました。最初は「まあ、印象は悪くなるかも知れんが、それほどでもないんじゃないか」と楽観的にみていたのですが、「ステマは法に触れる」「捕まる」というえげつないツイートを目にしまして、もちろんツイッタラーでもある僕(フォロワー12人)はかなりビビってしまっているわけです。

    で、まあちょうどいいなと思いまして、今回はステマがどのように法に触れるのか、このビッグウェーブに乗じて実際に調べてみることにしました。

     

    1. ステマが触れる可能性のある法律とは
    2. 法に触れる基準
    3. 吉本工業のステマやSNSインフルエンサーの騒動は
    4. まとめ

     

    ステマが触れる可能性のある法律とは

    調べてみたところ、「景表法(景品表示法)」という法律があるそうです。これは消費者を守る法律でして、昭和37年に制定された法律なのだそうです。

    1960年、牛肉の缶詰と嘯き、多くの企業が鯨肉や蹴飛ばし肉を使用していた事例が明るみに出て問題となった事件を契機に作られたものなのだそうです(話は逸れますが、この事件、ニセ牛缶事件で調べるとたくさん読み物があるのですが、なかなか興味深い事件ですので、人生暇つぶしだと思っている方はチェックしてみてはいかがでしょうか)。

     

    こちらについては消費者庁の管轄であり、景表法での違反が疑われる場合、消費者庁は次の3つの段階で行政処置がなされます。

    1 措置命令・・・完全な違反が確認された場合、その商品・サービスをすぐにやめるよう命令されます。

    2 警告・・・違反の疑いがある場合、やめるべきだと警告されます。

    3 注意・・・詳しく書かれてなかったのですが、「・・・やめといたほうがいいこともあるから気をつけてね」レベルだと思います。

     

    これについて措置命令、あるいは警告が出た場合は警察発表が行われるとのことです。また、これらについては課徴金制度もあるため、違反となった場合はお金を支払わなければなりません。大手企業の場合、課徴金は1億にも登るとwikipediaに書いてありました。

     

    しかしながらこちらについて調べてみた限り、ステマに特化している法律というよりは、メニュー偽装や食品偽装への措置を目的としているように見えます

     

    法に触れる基準

    それでは、ステマは実際この法律のどの部分に当てはまるのでしょうか。

    景表法では、商品・サービスの「表示」に関して「優良誤認」と「有利誤認」の2種類の観点で基準を定めています。詳細は以下になります(wikipediaから引用)。

     

    優良誤認(5条1項1号)

    商品・サービスの内容が、事実と相違して、

    1. 実際よりも優良であると誤認させる
    2. 他社の商品・サービスよりも優良であると誤認させる

    ことを規制する。

     

    有利誤認(5条1項2号)

    商品・サービスの価格が、事実と相違して、

    1. 実際よりも有利である(安い)と誤認させる
    2. 他社の商品・サービスよりも有利である(安い)と誤認させる

    ことを規制する。

     

    僕がわからないので、皆さんももちろん何言っているのかわからないと思います。こちらをペースト状になるまで噛み砕くと、こんな感じ。

     

    優良誤認・・・「実物よりめっちゃ良いものだと誇張して宣伝する」

    有利誤認・・・「ほんとは1000円のものを300円だと言って宣伝する」

     

    この2つで評価される感じです。

     

    吉本工業のステマやSNSインフルエンサーの騒動は違反に当たるの?

    今回、調べていくうちにわかってきたのですが、やはり景表法というのはステマに対して作られた法律ではないため、「よほどひどいステマでない限り」ステマを捕まえるという側面はあまり持ち合わせていません。このよほどひどいというのも、明確な基準がなくちょっとふわふわしてますよね。いずれにせよ、今回の吉本工業の騒動も、SNSインフルエンサーの騒動も、「PR表記」があってもなくても、それが利益供与であったとしてもどちらも違反には当たらないのではないかというのが調べた結果の見解です

     

    有利誤認の点では両者とも全く違反していません。

    また、問題の優良誤認は、ざっくりいうとこんな感じのレベルじゃないと措置命令案件にはならないようです。

     

    「話題の育毛剤、使用してみたらハゲが治ったわ!(本当はカツラを装着してるだけ)」

     

    わかりませんが、多分これはアウトだと思います。

    産地偽装や食品偽装は優良誤認の観点で明確に違反していることがわかりますが、

     

    まとめ

    ということで今回は、ステマについて、それが法律にどのように触れるのかについて調べてみた上で、今回の炎上騒動では両者とも法律に違反してるとは言い難いという結論に至りました。

    ステマは確かに印象が悪いですが、実際に取り締まるとなるとなかなか大変なようです。また本気で取り締まりを強化するのであれば、法改正が必要なくらい現在の法律はステマに対応していません。

     

    正直な話ステマって実はものすごく横行していまして、インターネット上では多くの企業がステマをしているといっても過言ではありません。ステマをしっかりと取り締まる法律を作ってしまったら、違反企業だらけになってしまいますもんね。だからそういう実態を知っている身からしたら、なぜここまで炎上しているのかと思ってしまったりもします。

    しかしながら印象が悪いのもまた事実。この2つの炎上騒動で、#PR表記はSNSで案件を受ける際の一種の礼儀となっているのだなというのを実感したと共に、やはり世間の目はステマについてかなり厳しい目でみていることもわかりました。

     

    消費者の顔色を伺う商業界では、気をつけないといけませんもろんね。

    この記事を書いたライター
    咳戸

    大手広告代理店から独立し、不動産事業や投資等で
    莫大な資産を得る人生を日々夢見ながら家でゴロゴロしている。
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