決め手は「ヨロシクオネガイシマス」~大衆演劇突撃レポート~
2018.12.2
大衆演劇という初体験
どうも。
最近ドリアンを初めて食べましたが、もう一生食べることはないでしょう。淺野です。
今年はあんまり寒くないそうで、コート無しで毎日出かけております。
そんな中、以前から親しくしていただいているナニワのマダム(仮)が東京にいらっしゃるということで、東京なのになぜがマダムのアテンドのもと、マダムが愛してやまない「大衆演劇」を堪能してきました。
東京は浅草、木馬館。
この日、15時にマダムとこちらで待ち合わせ。
ホッピー通りの盛況ぶりが半端じゃなかったですね。
そして外国人が多い。
でも浅草は北欧系の方が多かったような気がしました。あまりアジア系は他に比べて少なかったような。
ASAKUSAを感じながら待合所?でしばらく突っ立っていると、階段からぞろぞろと人が下りてきました。
ちなみに受付こんな感じですね。
大人1,600円 子人900円
なんとも絶妙な良心価格。もっと高いと思ってました。
どうやら我々は夜の部の観劇勢らしく、昼の部が終わって観客が出てきたようですね。
木馬館前は一気に人で溢れかえりました。
昼の部勢と同じくして、なにやら顔面白塗りの着物紳士がぞろぞろと下りてきて、木馬館が血で血を洗う凄惨な処刑上になる。。。のかと思いきや、役者様方でございました。
昼の部の興奮冷めやらぬまま、ここで写真撮影等が催されるようです。(後で知りましたがこれ、“送り出し”と呼ばれるそうです)
男性で、しかも花魁の鬘・髪飾りなどをつけている為、かなりみなさんでかく見えます。
一緒に写真を撮ったり、握手したり…ファンサービスがすごいなと茫然とその光景を眺めていると、マダムが下りてきました。
実はマダム、かなりの熱狂的な大衆演劇ファンで、全国各地の公演に遠征し、推しメンもいるのだとか。
つーか昼の部も夜の部も観るんですねあなた。
んで、マダムくらいになると演者さんに地元の友達感覚で気軽に役者さんに声を掛け、「ともだちー」って言って我々を紹介してくれました。
役者さんの方も「あ、よろしくお願いします!」って感じで握手してくださり、恐縮してしまう我々。
こんな感じで役者さんとの距離が近いのも大衆演劇の魅力なのではないかなと思います。
あれですね、AKB〇8みたいな。身近に感じられるアイドルみたいな感じ。
このあとの演劇を見て、さらにそう思いましたし。。
さて、マダムと合流したMediassort一行。久しぶりの挨拶もそこそこに、夜の部まで時間があるということで近くの食堂で飯を食うことに。
「君塚食堂」写真は撮ってませんがかなり味がある昔ながらの食堂って感じで、流石浅草、とうなりつつそばをすすりました。ごちぽよ。
そんなこんなであっという間に時刻は17時前。隣のコンビニで飲み物、お菓子(食べながら観れます。ただあまり大きい音の出るお菓子とか、すんごい臭うものは避けましょう。ドリアンとか)などを買って、木馬館に戻り、受付を済ませ2階へ上がります。ちなみに2階に物販があり、お土産・パンフレット・グッズ・軽食などが購入できます。
前の方の席に座り(マダムがリザーブしてくれていました!ありがとうございます!)、お菓子をつまみながら“大衆演劇の作法”についてレクチャーを受けます。
すべては“ヨロシクオネガイシマス”でした。
ここで少し大衆演劇について解説します。
詳しく説明というよりは、誰にでもわかりやすく概要、構成などポイントを。
【大衆演劇】
日本の演劇のジャンルのひとつ。一般大衆を観客とする庶民的な演劇のこと。
非常に歌舞伎に近いです。というのもかつて演劇は、常設の芝居小屋を持ち、伝統や格式を追求し練り上げていく「大芝居」と、より派手に見世物的に演じることを主体とし、庶民に娯楽を提供する「小芝居」、全国を回る旅役者が成す「旅芝居」とがありました。
このうち「大芝居」は、明治時代開国した日本が「諸外国に誇れる芸術を」と、大芝居を保護し国劇として認知されるようになりました。
それまで明確な線引きがなかったそうですが、そこから大芝居と小芝居・旅芝居などが区別されるようになり、大芝居は今日の“歌舞伎”へ、小芝居・旅芝居などは“大衆演劇”として、人々に親しまれるようになります。
……非常にざっくりと解説しましたが、ルーツは同じだったんですね。
超かんたんに言うと、大衆演劇は庶民的な歌舞伎。そうイメージするとわかりやすいかもです。
ちなみにあの「梅沢富美男」さんは大衆演劇の大スターですよ。
始まります。
さて、大衆演劇の舞台は芝居とショーの2~3部構成です。
・芝居:人情劇や剣劇(時代劇など)が演じられる。『忠臣蔵』・『清水次郎長』といった歌舞伎・新派劇・新劇の演目が多い。
・歌謡ショー/舞踊ショー:劇団に属する役者が歌うあるいは踊るショー。日舞を基本とし演歌や歌謡曲にのせて踊る、あるいは歌う。ポップスなんかもあったけど。
今回はショー→芝居→ショーの3部構成でした。
あ、途中休憩あります。尿意や便意をご心配の方、ご安心ください。
お芝居は「三浦屋孫次郎」という演目。義理人情モノのアツいお芝居でした!
セリフや演技など、細かい部分はアドリブで、大筋だけ決まってる状態であとはその役者さんの裁量なので、同じ演目でも毎回違って、何回見ても楽しめるとはマダム談。
結末が分岐する演目もあるそうですよ!そりゃ何回も観れるわ。言い回しや演技も違ければさげまで違って……どうやら楽しみ方がいろいろあるようです。
そして待ちに待ったショー。
というのも、このショーが観たかったんです。
噂では聞いていました。
しかし、自分の目で「ヨロシクオネガイシマス」を見ないことにはなかなか信じられなくて。
ショーは、歌謡曲、演歌にのせて役者さんが踊ります。踊るというよりは、舞いのように感じました。
あ、その前に、芝居が終わって3部のショーが始まる前に前説、のようなものがあります。
そこでみんなオウエンシテルデを買います。
これ、何に使うかというと、役者が舞っている時(ひとりずつ交代で舞っているとき)に前に出てきて、首にオウエンシテルデをかけたり、帯にオウエンシテルデを差し込んだりします。
僕もせっかくなので買いました。
曲が流れ、役者が舞い、みんなが舞台に注目する中、するするっと前に出てきてオウエンシテルデを渡しにいくのはちょっと度胸がいるかなと思いましたが、全然そんなことありませんでした。
前に出ると役者さんがこちらへきてくれます。
そこでオウエンシテルデを渡します。そして席に戻ります。
人気の役者さんはオウエンシテルデでいっぱいになります。
私はオウエンシテルデでなんか参加した気になってしまいましたが、我々の水先案内人マダムは違いました。
お気に入りの役者さんの番になるとするするっと前に出ていって、なんとヨロシクオネガイシマスをしました……!
すると逆サイドの通路から、別のご婦人が登場し、同じ役者さんにヨロシクオネガイシマスを。
ヨロシクオネガイシマス……初めて見ました。
特に贔屓にしている役者さんにはヨロシクオネガイシマスの方が多いですね。
ヨロシクオネガイシマスを首元にピンでとめ、席に戻ってきたマダム。
他にもぞくぞくとヨロシクオネガイシマスをつけにいったり、オウエンシテルデを渡しにいったり……、他にも紙袋とか、なんかいろいろありました。ほんとにいっぱい。
いやもうすごいなと。えも言われぬ体験でした。
劇団の一座の座長が集まった、座長大会ともなると、それはもう驚くべきほどのヨロシクオネガイシマスが飛び交います。扇が扇じゃなくなるそうです。
ヨロシクオネガイシマスがぶわーって広がる光景は圧巻だそうです。そんなん見たらテンション上がります。いつかは見てみたい……!
その後も役者さんがかわりばんこに舞ったり、ときには3人、5人で曲に合わせて踊ったり……
まさに“ショー”でした。
終わって…
全部で3時間半の公演でしたが、本当にあっという間でした!
区切られているから早く感じたんですかね。お芝居3時間だったら途中しんどくなってしまったと思います。
最後まで飽きずに楽しむことができました。
終わった後、マダムと酒を酌み交わし、いろいろ話を聞きました。
マダムは“顔”が好きなのだそうです。
顔だったり、その人の芝居・演技・しぐさなど……役者自身の“人”を好きになるのだそう。
きっと役者との距離が近いからかなとも思ったり。
確かにショーの間、ある曲では役者全員が観客ひとりひとりと握手してまわったり、その“人”を感じれるような温かみがありました。
観客もいっぱいで(ほぼ満席状態でした)、こんなに盛り上がってるんだ!と知りました。
次は座長大会もそうですが、喜劇も見てみたい……。
Mediassort代表。
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